折々
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愛それを支配と気づくうしろから煙はまわりながら絡まる
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吸い殻は縦に縦にと押し込まれ自動販売機前のアディダス
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スワロフスキー欠けて汚れて錆びながらそれでも表情すわろふすかす
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土鍋には冬の期待を詰め込んでもう逃げられないほどひとりだ
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珠かと信じ石と気付ける濃緑の、この苦しみは父の匂いだ
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会話より美しき 音楽に合わせてテーブルに鳴らすその指先は
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まろやかに目を合わせまた目を逸らし告別式ののちのすずしさ
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きみもわたしもばけものなんだにおいでわかるにおいをかさねるようにだきあう
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あだ名なら「極道」、流れて今は「サグ」。突き刺すように歌い返せば
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会いたさが果てたさに似てくるまでを痴呆のごとき桜の下を
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壊れたおもちゃのようなあなたに会いにゆく浅き眠りのこれは川岸
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ゆびさきを黒いサテンのグローブに潜らせたまま煙草に触れる